ゲーム数学 第12回

講師:大森田不可止



積分 (integral)





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「微分」の確認

基本関数の微分

\[ \frac{d}{dx} x^n = nx^{n-1} \]
\[ \frac{d}{dx} e^x = e^x \]
\[ \frac{d}{dx} a^x = a^x \log_e a \]
\[ \frac{d}{dx} \log x = \frac{1}{x} \]
\[ \frac{d}{dx} \sin x = \cos x \]
\[ \frac{d}{dx} \cos x = -\sin x \]
\[ \frac{d}{dx} -\sin x = -\cos x \]
\[ \frac{d}{dx} -\cos x = \sin x \]

微分の基本

  • 合成関数の微分: \( (f(g(x))' = f'(g(x)) \cdot g'(x) \)

    \[ \frac{df}{dx} = \frac{df}{du} \frac{du}{dx} \quad ( u = g(x)) \]
  • 逆関数の微分: \[ \frac{dx}{dy} = \frac{1}{\frac{dy}{dx}} \]

合成関数の微分の例

\[ f'(x) = ((x^4+x+1)^5)'\]

\( u=x^4+x+1\) と置くと、

\[ \begin{align} f'(x) &= \frac{d}{du}u^5 \cdot \frac{du}{dx} \\ &= 5u^4 \cdot (4x^3+1) \\ &= 5(x^4+x+1)^4 \cdot (4x^3+1) \end{align} \]

\( f'(x) = (\cos(x^2+1))' \)

\( u = x^2+1 \) と置くと、

\[ \begin{align} f'(x) &= \frac{d}{du} \cos u \cdot \frac{du}{dx} \\ &= -\sin u \cdot 2x \\ &= -2x \sin(x^2+1) \end{align} \]

\(\color[RGB]{204,0,0}((x^4+x+1)^5)' = 5(x^4+x+1)^4(4x^3+1) \) のグラフ

\(\color[RGB]{204,0,0} (\cos(x^2+1))' = -2x\sin(x^2+1)\) のグラフ

逆関数の微分の例

  • \( y = \sqrt{x} \) の逆関数は、\( x = y^2 \) なので、\( \frac{dx}{dy} = 2y \) から、 \[ \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}} = \frac{1}{2y} = \frac{1}{2\sqrt{x}} \]
  • \(-\frac{\pi}{2} \leqq y \leqq \frac{\pi}{2} \) で定義された \(x = \sin y\) の逆関数 \(y = \arcsin x\) の導関数は、\(\sin^2x+\cos^2x=1\)を使って、 \[ \frac{dy}{dx} = \frac{1}{\frac{dx}{dy}} = \frac{1}{\cos y} = \frac{1}{\sqrt{1-\sin^2 y}} = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \]

\( \color[RGB]{204,0,0}(\sqrt{x})' = \frac{1}{2\sqrt{x}} \) のグラフ

\(\color[RGB]{204,0,0} (\arcsin{x})' = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \) のグラフ





積分の概要

積分とは

「積分」とは、簡単に言えば「変化の累積を調べること」です。1秒あたりの加速度を累積すると速度になり、1秒あたりの速度を累積すると変位になるといった具合です。これは、グラフで見た場合の、ある区間のX軸とグラフで囲まれた面積になります。Y軸方向が負の場合、面積も負になります。

\[\int_2^8 (3+sin(x)) dx \]

積分記号(Integral symbol) Sを縦方向に長くした記号が使用される。

\[ \int \]

不定積分

関数 \(F(x)\) の導関数が \(f(x)\) のとき、すなわち \( F'(x) = f(x) \) のとき、\(F(x)\) は \(f(x)\) の原始関数であるという。

不定積分: \(F(x)\) が \(f(x)\) の原始関数のとき、 \[ \int f(x) dx = F(x) + C \] ( C は積分定数) と書いて、これを\(f(x)\) の不定積分という。

不定積分の公式

\[ \int f(x)dx \pm \int g(x)dx = \int (f(x)\pm g(x)) dx\]

\[ \int cf(x) dx = c \int f(x)dx \] (\(c\)は定数)

\[ \int x^n dx = \frac{1}{n+1} x^{n+1} + C \] (\(n \ne -1\)は実数、\(C\)は積分定数)

不定積分の公式2

\[\int \frac{1}{x} dx = \log|x| + C\]

\[\int e^x dx = e^x + C\]

\[ \int \sin x dx = -\cos x + C \]

\[ \int \cos x dx = \sin x + C \]

不定積分の公式3

\[ \int \frac{f'(x)}{f(x)}dx = log|f(x)| + C \]

\( \int fx(x) dx = F(x) + C \) ならば、 \[ \int f(ax+b) dx = \frac{1}{a}F(ax+b) + C \]

定積分

定積分は原始関数の差として以下のように表せる。 \[ \int_a^b f(x) dx = \left [ F(x) \right ]_a^b = F(b) - F(a) \]

これは、\( y = f(x) \) のグラフの、区間[a,b] の面積となる。x軸から上側は正、x軸の下側は負の面積となる。

\[\int_1^4 (1+sin(x)) dx \]

積分の応用

回転体の体積:関数\(f(x)\) が区間[a,b] で定義されてるとき、グラフ \(y = f(x)\) をx軸の周りに回転させて得られる回転体の体積は、 \[ \int_a^b \pi \{f(x)\}^2 dx \] である。

\[ y = \sin x \]

球の体積

半径が r であるような半円のグラフ \( y=\sqrt{r^2-x^2}\) をx軸のまわりに回転させると半径 r の球になる。この体積は、 \[ \begin{align} \int_{-r}^r \pi y^2 dx &= \int_{-r}^r \pi(r^2-x^2) dx \\ &= \left [ \pi \left ( r^2x-\frac{x^3}{3} \right ) \right ]_{-r}^r \\ &= \pi \left ( r^2 \cdot r -\frac{r^3}{3} \right ) - \pi \left ( r^2\cdot (-r) - \frac{(-r)^3}{3} \right ) \\ &= \frac{4}{3}\pi r^3 \end{align} \]

\[ y = \sqrt{1 - x^2} \]

円錐の体積

半径 r の円を底面とする、高さ h の円錐の体積を求める。

\(f(x) = \frac{r}{h}x \) として、区間[0,h] をx軸で回転させれば良い。 \[ \begin{align} \int_0^h \pi \left ( \frac{r}{h}x \right )^2 dx &= \pi \left [ \frac{r^2}{h^2}\frac{x^3}{3} \right ]_0^h \\ &= \pi \left ( \frac{r^2}{h^2}\frac{h^3}{3} \right ) - \pi \left ( \frac{r^2}{h^2} \frac{0^3}{3} \right ) \\ &= \frac{1}{3}h \pi r^2 \end{align} \]

積分のイメージ

  • 積分による求積
  • [0,1] の区間の積分は、\( y=f(x) \) のグラフを dt の区間で区切って、その長方形を積算する。 \[ \lim_{dt \to 0} \sum_{x=0}^{1/dt} f(x) dt \]
  • この極限値が[0,1]の定積分となる。 \[ \int_{0}^{1} f(x) dx \]

積分の「逆」が微分

  • 関数 \(f(x)\) の原始関数を \(F(x)\) とする。小さな\(h\)に対して \(f(x)\)の区間 \([x,x+h]\) の面積を考えると、 \[ F(x+h)-F(x) = f(x) h\] 両辺を\(h\)で割って、\( h \to 0\) の極限を取ると、 \[ \lim_{h \to 0} \frac{F(x+h)-F(x)}{h} = f(x) \] 左辺は、\(F'(x)\) の定義だから、\(F'(x) = f(x)\) となる。

置換積分

\( x = g(t) \) と置いたとき、 \[ \int f(x) dx = \int f(g(t)) g'(t) dt \] である。これを置換積分の公式と呼ぶ。

※ \( x = g(t) \) から \(g'(t) = \frac{dx}{dt}\) であり、これから、\( dx = g'(t) dt \) を左辺に代入するという感覚で良い。

置換積分の例

\( \int \sin^3 x \cos x dx\) を計算するのに、\( t=\sin x\) と置くと、\( dt = \cos x dx\) なので、

\[ \begin{align} \int \sin^3 x \cos x dx &= \int t^3 dt \\ &= \frac{t^4}{4} + C \\ &= \frac{\sin^4 x}{4} + C \end{align} \] ( C は積分定数)

置換積分の例

\( \int x(1-x)^5 dx \)

\(1-x = t\) と置くと、\(x = 1-t\) であり、\( \frac{dx}{dt} = -1 \) なので、\( dx = -dt\)。

\[ \begin{align} \int x(1-x)^5 dx &= \int (1-t) t^5 (-dt) \\ &= - \int (t^5 - t^6) dt \\ &= - \frac{1}{6} t^6 + \frac{1}{7} t^7 + C\\ &= -\frac{1}{42} t^6 (7-6t) +C \\ &= -\frac{1}{42} (1-x)^6(6x+1) + C \end{align} \]

練習問題

  • \[ \int e^{3x} dx \]
  • \[ \int \frac{1}{3x-1} dx \]

部分積分

  • \( f(x) \) の原始関数を \(F(x)\) とする。つまり \( f(x) = F'(x)\) とする。このとき部分積分の公式 \[ \int f(x) g(x) dx = F(x)g(x) - \int F(x)g'(x) dx \] が成り立つ。
  • 積の微分の式から、\( (F(x)g(x))' = F'(x)g(x) + F(x)g'(x) \)
    両辺を積分すると、\(F'(x) = f(x)\) だから、 \[ F(x)g(x) = \int f(x)g(x) dx + \int F(x)g'(x) dx \]

部分積分の例

  • \( \int (x^2+x+1) e^x dx\) の計算で、\(f(x) = e^x , g(x) = x^2+x+1\) と置けば、\( F(x) = e^x\) である。従って、 \[ \int (x^2+x+1) e^x dx\]\[ = (x^2+x+1) e^x - \int (2x+1) e^x dx \] 同様にして、 \[ = (x^2+x+1) e^x - (2x+1)e^x + \int 2 e^x dx\]\[ = (x^2+3x+4) e^x \]

部分積分の例

  • \( \int x \sin x dx\) の計算では、\(f(x) = \sin x\) と置けば、\( F(x) = -\cos x\)、 \( g(x) = x\) である。従って、

    \[ \begin{align} \int x \sin x dx &= x(-\cos x) - \int (x)'(-\cos x) dx \\ &= -x \cos x + \int \cos x dx \\ &= -x \cos x + \sin x + C \end{align} \]

練習問題

  • \[ \int \log x dx \]
  • \[ \int \left ( \log 2x \right )^2 dx \]




微積分と物理

微分: 等速度運動と等加速度運動

等速直線運動

時間微分
  変位 → 速度
  (m)     (m/s)
\(\Delta x = 2t \ (m)\)
     \(v=2 \ (m/s)\)
時間微分
  速度 → 加速度
  (m/s)     (m/s2) \(v = 2 \ (m/s)\)
     \( a = 0 (m/s^2)\)

等加速度運動

時間微分
  変位 → 速度
  (m)     (m/s)
\(\Delta x = \frac{1}{2}t^2 \ (m)\)
     \(v=t \ (m/s)\)
時間微分
  速度 → 加速度
  (m/s)     (m/s2) \(v = t \ (m/s)\)
     \( a = 1 (m/s^2)\)

積分: 等速度運動と等加速度運動

等速直線運動

時間積分
  変位 ← 速度
  (m)     (m/s)
\[\Delta x = \int_0^t 2 dt = 2t \ (m/s)\]

\[ 2t (m)\]

\[ t \]

時間積分
  速度 ← 加速度
  (m/s)     (m/s2) \[v = \int_0^t 0 dt = C \ (m/s)\]

等加速度運動

時間積分
  変位 ← 速度
  (m)     (m/s)
\[\Delta x = \int_0^t t dt = \frac{1}{2}t^2 \ (m)\]

\[ \frac{1}{2} t^2 (m)\]

\[ t \]

時間積分
  速度 ← 加速度
  (m/s)     (m/s2) \[v = \int_0^t 1 dt = t \ (m/s)\]

\[ t (m/s)\]

\[ t \]





積分の計算

Maxima 積分

integrate の書式

integrate(式, 変数, [開始, 終了]) 

実行例

(%i18) integrate(x,x);
(%o18) x^2/2
(%i19) integrate(sin(x),x);
(%o19) -cos(x)
(%i20) integrate(sin(x),x,0,%pi);
(%o20) 2
(%i22) integrate(exp(x),x, 0,10);
(%o22) %e^10-1
(%i23) float(%);
(%o23) 22025.46579480673
(%i24) integrate(log(x),x,1,100);
(%o24) 100*log(100)-99
(%i25) float(%);
(%o25) 361.5170185988092

Python でもほぼ同じ

参考: Pythonで数学の勉強:微分積分学 - Qiita


import sympy as sym
sym.init_printing()
Pi = sym.S.Pi # 円周率
E = sym.S.Exp1 # 自然対数の底
I = sym.S.ImaginaryUnit # 虚数単位
oo = sym.oo # 無限大

# 使用する変数の定義(x,y,zをシンボルとする)
(x,y,z) = sym.symbols('x y z')

import numpy as np

sym.integrate(y/x, x)
sym.integrate(1/x**2, (x, 1, oo))
sym.integrate(sym.sin(x),x)
sym.integrate(sym.sin(x), (x,0,Pi))

練習問題: 解答

\[ \int e^{3x} dx \]

\(t=3x\) と置くと、\(dt = 3dx\) \[ \begin{align} \int e^{3x} dx &= \int e^t \frac{1}{3} dt \\ &= \frac{1}{3} e^t + C \\ &= \frac{1}{3} e^{3x} + C \end{align} \]

\[ \int \frac{1}{3x-1} dx \]

\(t=3x-1\) と置くと、\(dt = 3dx\) \[ \begin{align} \int \frac{1}{3x-1} dx &= \int \frac{1}{t} \frac{1}{3} dt \\ &= \frac{1}{3} \log t + C \\ &= \frac{1}{3} \log (3x-1) + C \end{align} \]

練習問題: 解答

\[ \int \log x dx \]

\(1\cdot \log x\) と考えて部分積分をする。 \[ \begin{align} \int \log x dx &= x \log x - \int x \cdot \frac{1}{x} dx \\ &= x \log x - x + C \end{align} \]

\[ \int \left ( \log 2x \right )^2 dx \]

部分積分をする。 \[ \begin{align} \int \left ( \log 2x \right )^2 dx &= x \left ( \log 2x \right )^2 - \int x \cdot 2 \frac{2}{x} dx \\ &= x \left ( \log 2x \right )^2 - \int 4 dx \\ &= x \left ( \log 2x \right )^2 - 4x + C \end{align} \]